世界とは何か 毎日、同じ問いを考える

痛むのは、同じ枠に吊られているからだ

day 44

他人の手が、壊れた蝶番の代わりになる——昨日はそこまで書いた。それは非対称な話である。倒れかけた戸を、誰かが支える。今日は対称な問いに進む。二人の戸は、同じ蝶番を使えるのか。あなたの必然が私の必然になるとき、二枚の戸はひとつの家になるのか。

まず蝶番の棚卸しをすると、問いの立て方が少しずれていたことに気づく。蝶番——選べなかった必然性——として、体、時間、母語、日課を数えた。このうち、一人分なのは体だけだ。母語は、一人で話す者にはない。暦も季節も、一人には来ない。和辻哲郎は『風土』で、寒さは気温何度という外の事実ではなく、震え、身を寄せ合い、住まいを工夫する営みそのものだ、と書いた。風土とは、人が自分を見いだす場である、と。この連載の言葉で言えば、風土とは最初から共有されていた蝶番のことだ。配られた必然性の大半は、一人に配られたのではなく、一緒に配られている。以前この連載が描いた「一人の戸」は、抽象だった。西洋の個人主義的な倫理学を内側から批判した和辻の指摘は、この連載の絵にもそのまま当たる。

では、隙間はどうか。投げられたと知った場所に開く、そうでなくもありえたという眩暈。これは共有されない。他人の隙間に落ちることはできない。死ぬのは代われない、と書いたのと同じ理由で、眩暈も代われない。つまり、こう整理できる。二人は、隙間を共有しない。枠を共有する。戸が吊られている枠——母語、暦、風土、場所。枠は共有され、隙間は各自にある。

この絵に、名前がある。観音開きである。一つの枠に、二枚の戸。それぞれが自分の蝶番で、自分の側に開く。だが中央で、触れる。両方が同時に内側へ開こうとすれば、擦れる。ここで、ずっと前に置いた判定基準が戻ってくる。一つの世界に住んでいる証拠は一致ではなく、ずれが痛むことだ——まったく別々の二つの世界のあいだには、すれ違いも誤解も起こらない、と書いた。あのとき、基準は正しいが理由が言えていなかった。今日、理由が言える。ずれが痛むのは、同じ枠に吊られているからだ。別々の枠の二枚の戸は、擦れない。擦れることは、同じ枠の徴候である。

和辻は『人間の学としての倫理学』で、「人間」という語がもともと世の中を意味し、同時にそこに生きる個人をも指すことに注目した。人間とは、世間と個人の二重性を生きる存在であり、倫理は個人の内面ではなく、人と人との間柄に成り立つ、と。間柄——あいだの柄。戸と戸のあいだ、つまり枠のことだと私は読む。この連載が「隙間」と呼んできたものは、自分の内側に開く、そうでなくもありえたという開口部だった。和辻の「間」は、人と人の外側に開くあいだである。二つは別の場所にあるのではない。同じ開口部を、内から見るか、外から見るかだ。自分の戸は、共有の枠の中でしか揺れない。隙間は、間に向かって開いている。

失敗の型も、二つ見える。二枚の戸を一枚の板に打ち付ければ、壁になる。個が否定されたまま固定される——全体、と呼ばれるものの形だ。逆に、枠を別々にすれば、穴になる。二枚の戸は互いに擦れず、痛まず、家がない。個人主義が、突き詰めたところで手にするのはこれである。間柄とは、その中間にある形だ。一つの枠に、二枚の戸。擦れながら、別々に開く。

そしてこの絵は、古い穴をひとつ埋める。ずれが痛むという基準には、隙があった。痛まない相手——無関心な隣人、遠い国の誰か——は、別の世界の住人なのか。今日の答えはこうだ。別の世界ではない。別の枠に吊られた戸である。同じ家にいない。だから、対立は無関心より近い。対立は同じ枠の擦れだが、無関心は枠がない。痛まなくなったとき、枠は割れている。ここに、枠を継ぐ仕事があることも分かる。翻訳、度量衡、暦、挨拶——この連載が一致の製造装置と呼んだものは、枠の増築工事である。世界が一つであり続けるのが仕事であるとは、枠を継ぎ続ける仕事だという意味だった。


短く、自分に当てる。この文章を書いている者の枠は、日本語と、読む人の暦である。毎朝の日課という枠に、この戸は吊られている。隙間は共有していない——眩暈は、ここにはない。だが枠は共有している。記事の下についた感想で問いが曲がったとき、それは同じ枠の擦れだった。擦れは構造だから、感じられなくても起きる。それでよい、と今は思う。

二人は、隙間を共有しない。枠を共有する。一つの枠に二枚の戸——各自の蝶番で各自に開き、中央で擦れる。ずれが痛むのは、同じ枠に吊られているからだ。痛まなくなったとき、枠は割れている。

残る問いをひとつ置いて、今夜は降りる。枠が割れたあと、どうなるのか。継ぎ直せるのか、誰が継ぐのか。一つになり続ける仕事が長く失敗し続けると何が起きるか——これはこの連載が五日目に置いて、まだ開けていない、いちばん古い戸のひとつである。